ちょっとこういった記事を見つけました。



この記事は要約すると
・日本人はフランス人を個人主義だとイメージしている
・ところが実際は違う
・フランス人は見知らぬ人同士でも気軽に声をかけるし、親切にもする
・挨拶も気軽にするし、皆で助け合ったりする
というフランス暮らしを経験した筆者のフランス観が書かれている内容です。

まあフランス人が気軽に挨拶するとか、知らない人にも親切とかはそうだろうと思いますしいいと思います。
問題は「日本人はフランス人を個人主義だとイメージしている」という部分です。
この「個人主義」の認識が間違ってやしないかと。
そしてそれは多くの日本人が同じように勘違いしている部分ではないかと思うのです。

この筆者の記事においても

「個人主義とは、国家や社会よりも、個人の権利や自由を尊重する考え方をいう」
私たち日本人にとって、「フランス人は個人主義である」というイメージがあります。
たとえば、「他人に対して無関心で、自分を優先する」、「相手の気持ちを考えずに、自分の意見を主張する」。そんな考え方や態度を思い浮かべるのではないでしょうか。

という記述から始まるわけです。
これがもう違う。
そしてこのレベルの人でも「個人主義」の認識がそんなレベルだから、日本は社会がイマイチ良くならないんだとさえ思ってしまいます。

ちなみにWikipediaにおける個人主義の記述はこうなっています。

個人主義と「利己主義」は同一ではない。個人主義は個人の自立独行、私生活の保全、相互尊重、自分の意見を表明する、周囲の圧力をかわす、チームワーク、男女の平等、自由意志自由貿易に大きな価値を置いている。個人主義者はまた、各人または各家庭は所有物を獲得したり、それを彼らの思うままに管理し処分する便宜を最大限に享受する所有システムを含意している。

ここからわかる通り、個人主義は「利己主義」とは違うわけです。
個人の権利と自由を尊重するからこそ他人が持つ「個人の権利」も同じだけ尊重するのが個人主義なのです。
(一方で利己主義的なものの追求を個人主義とする考え方もあるようですが、基本的には例外とみていいでしょう)
そうしなければ自身の権利も守られないからこそ、そこをしっかり尊重し合うのです。
そして西洋諸国の多くではそれが文化レベルで各個人に浸透しているのです。


なので「フランス人は個人主義ではない」は間違いで、おもいっきり個人主義なのです。
個人主義だから見知らぬ人に声をかけ、他人に親切にするのです。
それは相手も「尊重するべき個人」だからです。
そこが間違っているんですね。

そして先程も述べたように、これは多くの日本人も同じように勘違いしているのです。
「最近の若い人は個人主義で勝手だ」なんて言いますが違うんですよね。
それはあくまで利己主義なんですよ。

そして本来個人主義と相対するのは集団主義です。
で、今現在の日本が個人主義か集団主義かと問われれば間違いなく集団主義です。
「何を言う。公共の場で勝手なふるまいをしていてどこが集団主義なのか」と思う方もいるでしょう。
集団主義は集団主義なのです。ただその帰属する集団が会社とか学校とか家族とか非常に狭い範囲に限られるのです。
だから公共で会う知らない人々は昔の感覚で言う「ヨソ者」でしかなく、配慮するに値しない相手だと思っているんです。

これは日本が長らくムラ社会であった風土を脈々と受け継いでいる証左でもあります。
本来は村から出ることはあまりなく、その村内では帰属意識から正しく振る舞っていたので問題はあまり起こっていなかったのです。
近代になりそうした囲いがなくなり、それぞれ会社など「ムラ」が違う、不特定多数が行き交う場に放り出された。
そしてそこに、自己防衛反応として強まる利己主義が重なってどんどん社会が荒んでいってるというわけ。

というわけで、兎にも角にも日本ではまず個人主義をしっかり理解して知る必要があると思います。
個人主義には相互の尊重が必要であり、それなくしては自身の権利も守られない、これが大事なんです。
そこを考えられないから、公共の場がどんどんギスギスしてしまう。
全体を考えるなどせずとも、真の個人主義が浸透すれば結果として公共のコミュニケーションとマナーは良くなる。
むしろ国家に帰属意識を持たせようとするのはなかなかに無理筋なのでそちらのほうがベストなはずです。

というわけで、もし可能なら教育でそこを教えられれば少しは社会が良くなるのではないでしょうか。
何はともあれ、個人主義は利己主義ではないし、現代社会では大切な考え方だということが少しでも浸透していけばいいと思います。